日本ではあまり知られていない4歳までの後ろ向き使用。
まずは、「なんで後ろ向きが安全なの?」と疑問に持たれる方は、こちらの動画をまずはご覧ください。細かい説明なく、後ろ向きの安全性をご理解いただけるかと思います。
「後ろ向き vs 前向き チャイルドシート 」
死亡重症率が最も高い、前方衝突に対して後ろ向き乗車は、面で身体を支えて衝撃を分散します。前向きと後ろ向きでは首に掛かる衝撃が約6.8倍違うと言われています。
最新の安全基準で定められた月齢15ヵ月までの後ろ向き使用は、あくまでも最低の期間であって、ヨーロッパでは可能な限り後ろ向きで使用すべし!という流れで、多くのメーカーが4歳まで後ろ向きで使用できる製品を発売しています。
今回、チャイルドシート研究所の独断と偏見で製品のレビューを挙げていこうと思います。
評価のポイントは、
- 後ろ向き時の足元スペース
- 後ろ向き時のシート(背中)角度が起きているか(嫌がらずに乗るための角度)
- 安全性の評価(ADACで安全性能テスト*等)
上記3点と当研究所の私見を元に総評を書いています。
※後ろ向き時の足元スペースのサイズを計測しています。
※後ろ向き時のシートの角度については、「チャイルドシートを嫌がる原因と解決方法」にて説明しています。
※ADAC(ドイツ自動車連盟)で実施される消費者テスト。
安全基準R129よりも、厳しい状況での衝突試験や、使い方や人間工学、汚染物質の含有量など、多岐にわたるテストを行い、5段階で評価しています。
前方衝突テストR129→50km/h ADAC→64km/h
側面衝突テストR129→24km/h ADAC→50km/h
※5段階評価(・非常に良い・良い・満足・十分・不十分)
※並びはこの記事を執筆時点の価格順です。
— もくじ —
┗BRITAX ROEMER DUALFIX i-SIZE V22
┗MAXI-COSI PEARL360 & FAMILYFIX360
┗CYBEX SIRONA T i-SIZE & BASE T
価格帯:80,000円台の製品
BRITAX ROEMER DUALFIX i-SIZE V22
実勢価格:88,000円
後ろ向き時の足元スペース:★★★★★
後ろ向き時のリクライニング角度:★★★★★
安全性能評価:ADACチャイルドシートテストでGOOD評価
安全性といえばBRITAX!と言わしめる、多くの自動車メーカーにも支持されるドイツが誇るメジャーブランドの回転式チャイルドシート。生産もドイツで行われており、高い品質も魅力です。
VOLVOの後ろ向き専用の純正チャイルドシートと設計を共有しており、足元のスペースが最も広くできています。
出典:VOLVO CARS
後ろ向き時のシート角度もしっかりと座れる角度になる調整可能、調整範囲も広く快適性も高いです。後ろ向き使用時の快適性を重視する方にはオススメです。
乗せ降ろしでドア側に回した時に高さも非常に低く、お子様を拘束するハーネス長も十分、調整のスムーズさもきわめて良好です。シートサイズも余裕のあるサイズになっています。
品質・安全性・操作性・快適性どれをとっても欠点が見当たらない最強の製品です。
MAXI-COSI(マキシコシ) PEARL360 & FAMILYFIX360
実績価格:85,800円
後ろ向き時の足元スペース:★★★
後ろ向き時のリクライニング角度:★★★★★
安全性能評価:ADACチャイルドシートテストでGOOD評価
トラベルシステムで知名度の高い、マキシコシの回転式チャイルドシート。
後ろ向き時の足元スペースはやや狭めですが、後ろ向き時のシート角度は、今回紹介する機種の中では一番起こせるモデルです。
乗せ降ろしでドア側に回した時の高さは、DUALFIX i-SIZEと比べて、若干高めですが、片手操作が可能な回転レバー、肩ハーネスが跳ね上がるオープンハーネスは、使用頻度の高いご家庭や、ママさんが乗せ降ろしされることが多い場合には、使いやすくてオススメです。
安全性能評価でも高い評価を得ており、安全性も申し分ないです。
欠点としては、セパレート式全般に言える事ですが、走行中にカチャカチャ音が出やすい事です。回転式のチャイルドシートは元々回る箇所に遊びがありますが、セパレート式はシートとベース部の連結部にも遊びがあるので、どうしても走行中の揺れなどで音が出やすくなります。EV車や音に対して神経質な方はセパレート式を避けた方がよいでしょう。
痒い所に手が届く的な使いやすい機能が盛り込まれている製品です。
パパ・ママの使いやすさに重点を置かれる方にはオススメの製品です。
CYBEX SIRONA T i-SIZE & BASE T
実勢価格:84,700円
後ろ向き時の足元スペース:★★★★★
後ろ向き時のリクライニング:★★★
安全性能評価:外部テスト未実施
ベビーカーで人気上昇中のCYBEXの最新回転式チャイルドシート。
マキシコシのPEARL360同様、シート部とベース部が分離できるセパレート式です。
足元スペースはDUALFIX i-SIZEに次ぐ広さになっています。
後ろ向きのリクライニング角度は若干寝気味ですが、調整範囲が広いのは良いですね。
安全性能比較テストはまだ未実施ですが、今までの製品評価から考えると悪い評価が出る可能性は低いかと思います。
乗せ降ろしでドア側に回した時に高さも非常に低く、回転操作も片手でできるので、全体的に完成度の高い一台です。
欠点としては、マキシコシのPEARL360同様、走行中にカチャカチャ音が出やすい事です。回転式のチャイルドシートは元々回る箇所に遊びがありますが、セパレート式はシートとベース部の連結部にも遊びがあるので、どうしても走行中の揺れなどで音が出やすくなります。EV車や音に対して神経質な方はセパレート式を避けた方がよいでしょう。
ヨーロッパメーカーのチャイルドシートとしては珍しい、サンシェードが標準装備されています。
マキシコシのPEARL360に非常に似た完成度の高い製品です。
使いやすさと安全性も必須だけど、日よけも欲しいと思われる方にはオススメの製品です。
価格帯60,000円~79,999円の製品
MAXI-COSI MICA PRO ECO i-SIZE
実績価格:71,500円
後ろ向き時の足元スペース:★★★
後ろ向き時のシート角度:★★★
安全性能評価:ADACチャイルドシートテストでGOOD評価
マキシコシの一体型チャイルドシートです。
PEARL360に非常によく似ており、シートの形自体や回転方法はPEARL360と全く同じです。
後ろ向き時のシート角度がPEARL360に比べて少し寝ています。足元のスペースはPEARL360と同様で、少し狭めです。
片手操作が可能な回転レバー、肩ハーネスが跳ね上がるオープンハーネスなどもPEARL360と同様のスペックになっています。
安全性能評価では高い評価を獲得しています。
痒い所に手が届く的な使いやすい機能は上位モデルのPEARL360と同じ仕様です。
セパレート式ではない分、価格が抑えられており、車の付け替えが少なくつけっぱなしにするのであれば、PEARL360ではなく、こちらの製品で十分だと思います。
CYBEX SIRONA Gi i-SIZE
実績価格:69,300円
後ろ向き時の足元スペース:★★
後ろ向き時の角度:★★
安全性能評価:外部テスト未実施
CYBEXの一体型の回転式チャイルドシート。
同じメーカーのSIRONA T i-SIZEとは全く異なる構造の製品です。
作りとしてはシンプルですが、いたって使いやすいです。
後ろ向き時のシート角度はヨーロッパメーカーとしては、かなり寝ている部類に入ります。足元スペースも狭めになっています。
ドア側に向けた時のシートの高さは抑えられているので、シート位置の高いSUV車でも乗せ降ろしがし易いです。
ただ、シート背もたれとあたるベース部の高さが低いため、車のシート形状により、回転時に干渉する場合があります。
SIRONA Ti-SIZE同様、ヨーロッパメーカーのチャイルドシートとしては珍しい、サンシェードが標準装備されています。
安全性能評価試験は未実施です。
基本的なチャイルドシートとしての使いやすさは、シンプルで申し分ありません。
リクライニングの調整幅も十分で非常に良くできた製品です。
ただ、足元のサイズが狭く、後ろ向きのシート角度がちょっと寝すぎなので、身体を起こしたがるお子様だと、後ろ向きの長期間使用はちょっと厳しそうです。
BRITAX ROEMER DUALFIX PLUS
実勢価格:63,800円
後ろ向き時の足元スペース:★★★★
後ろ向き時のリクライニング角度:★★★★
安全性評価:ADACチャイルドシートテストでGOOD評価
BRITAX ROEMER の一体型の回転式チャイルドシート。
こちらは中国生産という事で、同ブランドの製品としては比較的価格が結構抑えられた、最近発売されたモデルです。
後ろ向きの足元スペースも広め、リクライニングの角度に関しては、なかなか良さげです。
上位機種のような、シートの素材感や質感の高さや、飛び道具的な派手さはありませんが、操作系はスムーズで、いたって使いやすいです。
回転レバーが本体正面なので、ヒンジドアの車だと少し回転操作はし難さを感じられるかもしれませんが、スライドドア車では全く問題ありません。
最新の安全性能評価においても高い評価を獲得した、コストパフォーマンスの高い一台です。
DUALFIX i-SIZEV22の弟分的な製品。中国生産モデルという事で価格が抑えられています。後ろ向き時の足元のスペースも広めで、角度もしっかりと起こせます。
派手な機能や特徴はありませんが、価格を抑えながらも可能な限り後ろ向きで使用されたい方にはオススメの一台です。
価格帯30,000円~59,999円の製品
MAXI-COSI STONE
実勢価格:59,400円
後ろ向き時の足元スペース:★★★
後ろ向き時のリクライニング角度:★★★★
安全性評価:外部テスト未実施
MAXI-COSIの一体型の回転式チャイルドシート。
後ろ向き時のシート角度はかなり起きる部類ですが、足元は狭め。
大き目のお子様だと、3歳以降の足元は気持ち狭めです。
DUALFIX PLUSと同様、回転レバーが本体正面なので、ヒンジドアの車だと少し回転操作はし難さを感じられるかもしれませんが、その分ドア側に向けた時の座面の高さがかなり低めになっており、子供を持ち上げる高さを抑えられます。
肩ハーネスが跳ね上がるオープンハーネスなど、上位機種に採用されている機能が搭載されており、コストパフォーマンスの高い製品です。
これは輸入代理店の直営店限定モデルのようで、現物確認が出来る店が少ないのが残念です。
マキシコシの上位機種と同じオープンハーネスなど利便性の高い機能が搭載されています。
回転操作レバーの位置が、スライドドア車に最適な一台です。
CYBEX SIRONA SX2
実績価格:55,000円
後ろ向き時の足元スペース:★★★
後ろ向き時の角度:★★★★
安全性評価:ADACチャイルドシートテストでGOOD評価
CYBEXの一体型の回転式チャイルドシート。
SIRONA Gi i-SIZEと比べて、後ろ向きがしっかりと座れる形になっており、
後ろ向き使用であれば、当研究所ではこちらがおすすめです。
欠点としては回転の操作方法です。今回紹介している回転式チャイルドシートは、リクライニングの角度がどの位置でも回転できますが、本製品はシートリクライニングの角度を一番せり上げてから回す方式です。
ドア側へ向けた時のシートも結構低めなので、車高の高い車などでも乗せ降ろしがし易い一台です。
JOIE i-ARC360
実績価格:35,000円前後
後ろ向き時の足元スペース:★★★
後ろ向き時の角度:★★★
安全性評価:不明
インターネットを中心に、比較的お求めやすい価格に抑えた製品を数多く発売するJOIEブランドの回転式チャイルドシートです。
この製品も他ブランドの製品に比べて価格は抑えられていますが、その分作りは大味です。
車への取付けの際、サポートレッグが勝手に伸びたり、ISOFIXを接続した後の押し込みが他の製品よりも少々手間がかかります。また、ハーネスの調整もやや硬めです。
CYBEXのSIRONA Gi i-SIZEと同様、シート背もたれと当たるベース部の高さが低いため、車のシート形状により、回転時に干渉する場合があります。
背もたれ角度はやや寝気味、足元のスペースも狭めです。
使用頻度があまり高くなく、費用も抑えたい方にはオススメの一台です。
JOIE SPIN360 Gti
実勢価格:32,800円
後ろ向き時の足元スペース:★★
後ろ向き時の角度:★★
安全性評価:不明
同じくJOIEの回転式チャイルドシート。
4歳まで後ろ向き使用できることにはなっていますが、角度が寝すぎ、足元のスペースは狭め、なので、現実的には15ヵ月以降、前向きにしないとシート角度的にお子様が嫌がる可能性が高そうです。
後ろ向き4歳までの使用を考えなければ、国内メーカーの型落ち品を買うより、こちらの方がお買い得です。
価格帯:30,000円前後の製品
COMBI PRO GUARD ISOFIX
実績価格:30,000円前後
後ろ向き時の足元スペース:★★★
後ろ向き時の角度:★★★
安全性評価:不明
日本の育児用品メーカーCOMBIのセパレート式の回転しないチャイルドシートです。
製品自体は、シートベルト・エアバッグメーカーのジョイソンセーフティーシステムズ(旧タカタ)が製造しています。
同社が製造するホンダ純正チャイルドシート(定価121,000円)の兄弟機種にあたり、品質と信頼性と価格のバランスでは化け物級です。
回転や、リクライニング調整も出来ませんが、セパレート式なので着脱も容易で、保管する際にも便利なので、たまに使用されるご実家用やレンタカー、カーシェアリングでのご利用を検討されている方には、コスパ最強の製品です。
発売当初66,000円で販売されていたものが半額以下の爆安になっているので、もしかしたら、廃番が近くて処分特価の可能性もあります。
ご検討中の方は早めのご購入をお勧めします。
以上、4歳まで後ろ向きで使用できるチャイルドシート(詳細版)でした。