インパクトシールドタイプのチャイルドシートって安全?

2023年 11月9日 | ブログ, 購入ご検討中の方向け情報

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X(旧Twitter)でも数件ご質問を頂いていましたので、インパクトシールドのチャイルドシートについて書いていきたいと思います。

ちょいと文章多め、マニアックな内容ですが、ご興味のある方はよろしければお付き合いください。

 

 

インパクトシールドタイプのチャイルドシートって安全?

 

インパクトシールドタイプのチャイルドシートにはメリット・デメリットがあります。

お子様との相性や使用環境によってはインパクトシールドタイプを選ぶこともあると思います。

そんなインパクトシールドのチャイルドシートについて解説していきます。

 

インパクトシールドとは

 

インパクトシールドとは、通常の5点式ハーネスの代わりに、面で身体をとめる胸当ての事を言います。

 

インパクトシールドタイプのチャイルドシート

出典:カーメイト(AILEBEBE) サラット3ステップ(旧安全基準R44)

 

5点式ハーネスでは、左右の骨盤・鎖骨で身体を拘束するのに対し、インパクトシールドは骨盤を止める事を多少意識しているものの、基本は面で身体を拘束する構造です。

 

 

デメリット

 

そんなインパクトシールドタイプのチャイルドシートですが、懸念点としてはいくつかあります。

 

① 腹部圧迫

 

そのうちの一つに腹部圧迫が挙げられます。

日本の2003年・2004年のチャイルドシートアセスメントの腹部圧迫計測において、テストを受けたインパクトシールドタイプチャイルドシート全製品が

「衝突試験時、体が飛び出すことを防ぐ拘束装置がダミー胸部と腹部に計測範囲を超える大きな変形を生じさせて、腹部への圧力について正確に計測できなかった。」

と記載されました。

 

ダミー腹部への面圧計の装備

出典:NASVA

 

腹部圧迫計測とは2003年から実施されているテストですが、元々はチャイルドシート黎明期(れいめいき)の通称「しゃもじバックル」と言われる、パッド付の巨大バックルがお腹を圧迫しているのではないか?との懸念から始まっています。

↓こんなバックルです。

チャイルドシート黎明期の通称「しゃもじバックル」

 

 

元々インパクトシールドタイプを想定していない計測方法だった為、チャイルドシートアセスメントを行うNASVA(自動車事故対策機構)も

平成19年度の試験結果についても、これらに加え、胸部の変形の評価方法及びインパクトシールドタイプの腹部への圧力の評価方法が確立していないことがあるため、評価を行わないこととした。

と少々トーンダウンしましたが、実際のところはインパクトシールドタイプのチャイルドシートは

 

「腹部を圧迫するかもしれないし、しないかもしれない」と、結論が出ていないのが実情です。

 

ヨーロッパでも以前から「インパクトシールドタイプは骨の上に加えて、「身体の虚弱なところに負荷を掛ける可能性も考えられる」と、指摘している研究機関もあります。

この様な腹部を圧迫する可能性があるものの、それらを立証する、検証方法・計測方法について様々な議論が起こっていますが結論が出ず、ヨーロッパでは5点式ハーネス派のメーカーとインパクトシールド派のメーカーでの対立が、ずーっと続いてたりします。

(日本のベッド型チャイルドシート 対 イス型チャイルドシートの構図によく似ています)

 

 

② ロールオーバー(転覆)時の拘束が弱い

 

インパクトシールドタイプのチャイルドシートのもう一つの懸念点は

「ロールオーバー(転覆)時の拘束が弱い」という事です。

 

ちょっと古いですが、こちらにハーネスタイプとの比較動画があります。

 

肩と骨盤を支える5点式ハーネスに比べ、骨盤と太ももだけで抑えるインパクトシールドは、上方への動きに対してどう考えても不利ではあります。

最近はインパクトシールド自体の高さを上げ、密着するよう形状を変えて、最新の安全基準R129をクリアーした製品もあります。

CYBEXパラスG i-SIZE

出典:CYBEX パラスG i-SIZE

 

インパクトシールドが優れているのであれば、自動車メーカーの純正として採用されていく筈ですが、今のところは信頼性としては5点式ハーネスタイプに分があるようです。

 

MercedesBenz純正チャイルドシート

出典:MercedesBenz

 

 

メリット

 

と、ここまでは懸念点などを中心に挙げていますが、インパクトシールドタイプにもメリット、明確な存在意義があります。

 

① ハーネスを嫌がるお子様に

 

一番は、どうやってもハーネスを嫌がる子供の最後の砦になりえるという事です。

 

どんなに素晴らしいチャイルドシートでも、子供が抜け出してしまっては安全性もへったくれもありません。

ハーネスから、何をしても抜け出してしまう子供には、インパクトシールドが効果を発揮することが少なくありません

 

大人しく子供が乗ってくれること、これもとても重要です。

また、逆にインパクトシールドの圧迫感を嫌う子供もいますから、お子様との相性を見た方が良いです。

 

 

② 身長100cmにわずかに届かない場合

 

もう一点は、身長100㎝にわずかに届かない場合。

インパクトシールドタイプのチャイルドシートは、ざっくり言ってしまえば、ジュニアシートにインパクトシールドを乗せただけなので、構造・価格がジュニアシートに非常に近く、

「あと少しでジュニアシートに乗れるのに~」という方にも選びやすいと思います。

 

まとめ

 

という事で、インパクトシールドタイプのチャイルドシートの懸念点と存在意義について、書いてみました。

 

個人的に、インパクトシールドタイプも使っていました。(サラット3ステップ)

正確にいえば、妻の実家に預ける時ですが。

理由はハーネスタイプよりも、間違えずに義理の両親に使ってもらえそうだと思ったからです。

実際、装着してもらったところを確認したことがありますが、大きな間違いが無く使用できていたのは良かったです。

 

ご使用される方の環境や予算など、様々な選び方があるかと思いますが、このブログがどなたかの参考になれば幸いです。