最新 安全基準 R129 って何が変わったの?

2023年 7月17日 | ブログ

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現在、日本で販売されているチャイルドシートの安全基準が2つあります。

ひとつは旧基準のR44、そして最新の安全基準が R129 です。

今年の9月以降は、 R129 に完全一本化されますが、一応この2つの基準について、可能な限り正確に説明していきたいと思います。

 

旧基準R44と最新の 安全基準 R129 の大きな違い一覧

旧基準R44と最新の安全基準R129の大きな違い一覧

※前向きに乗り換えるためには、身長76㎝かつ月齢15ヵ月以上必須です。

 

なお、月齢15ヵ月はあくまでも最低期間であり、それ以上使用する事も製品によっては可能になっています。

 

これらは、下記の3つの目的のために変更されています。

①製品自体の安全性の向上

安全第一

・側面衝突の試験の追加

・衝突試験時に使用するダミー人形を、センサーを内蔵に変更

従来の安全基準取得製品では合格できない、衝突テスト条件。

 

②より安全に使用する為のルール変更

ルールブック

・後ろ向きでの使用を月齢15ヵ月かつ身長76㎝まで義務化

※従来の安全基準取得製品でも、体重13㎏ (1歳半頃)までの後ろ向き使用が可能でしたが、安全基準上、体重9㎏になったら前向きにできるようになっていました。

体重9㎏というと、成長の早いお子様だと月齢6か月くらいで到達してしまう事もあり、安全上リスクの高い、早期の前向き乗車が出来てしまうのが問題でした。

これらを解決するために、体重に関わらず最低でも15ヵ月までは安全性の高い後ろ向き乗車を義務付けるルール変更を行いました。

 

③より体格に合わせたシートを選べるようにするため

旧基準では、お子様とシートをあわせる際の適応基準を体重にしていましたが、個人差が激しく、お子様の体格に合わせた適切なシートを選べない事がありました。

例えば、旧基準ではジュニアシートに乗せる事が出来るのは体重15㎏以上としていましたが、細めの女の子で体重12~13㎏、身長が100㎝を超えている場合には、ジュニアシートにはまだ乗れない。ただ今まで使っていた4歳頃までのチャイルドシートにも乗れないなんて事がありました。

そんな矛盾を解消するために、最新安全基準R129では、洋服のサイズを合わせるように、身長に合わせてシートを選ぶように適応基準を変更しました。

身長に合わせて

旧基準のチャイルドシートでは「4歳頃まで乗れるって書いてあったけど、2歳半くらいで乗れなくなった」等、想定していた期間使えなかったという方がいらっしゃいました。これは、旧基準ではシートの内側寸法には規定が無かったためで、製品によっては、表記してある目安の年齢まで乗れないという問題は結構発生していました。

最新の安全基準では、製品の適応する身長に合わせてシート内側の最低寸法も設定されましたので、旧基準で頻発していた「想定していた期間使えなかった」とはなりにくいシートサイズになっています。

※↓下のイラストのような専用の装置を使って、座高・肩幅・お尻の幅・肩の高さなどを測定します。

専用の装置を使って、座高・肩幅・お尻の幅・肩の高さなどを測定

「製品自体の安全性を上げ、より安全な使い方に変更し、体格に合わせたシートが選べる」ようになったのが、最新の安全基準R129です。

3つに分けて説明した理由は、R129 に対応した製品を選んだだけでは、必ずしも安全性は上がらないという事 を理解いただきたかったからです。

 

②の、より安全に使用する為のルール変更、月齢15ヵ月までの後ろ向き使用の義務は、ユーザーがその使い方・ルールを守らないと意味がありません

後ろ向きの使用期間を延長することで、頭と首の保護を大幅に向上させています。

R129に適合した製品であっても、旧基準(R44)のように体重9㎏、月齢9カ月で前向きに乗せては、R129の意味はありません。

月齢15ヵ月に満たないお子様の前向き乗車は絶対にやめましょう。

※安全基準で決めているのはあくまでも最低の使用期間です。お子様の安全のためには、可能な限り後ろ向きで使ってあげましょう。

 

 

進化する安全基準

R129は2013年7月に導入されましたが、すべてのチャイルドシート・ジュニアシートの基準が制定されていた訳ではありません。

 

安全基準を作っているのは、国連欧州経済委員会(United Nations Economic Commission for Europe)です。

※安全基準に、「UN(ECE)R129」と書かれていますが、【UN(ECE)】は国連欧州経済委員会の英語の頭文字をとったものです。

 

その国連欧州経済委員会によって、R129を決めていく中で、大きく3段階(Phase)に分けて導入されていくことが決められました。

 

・Phase1:(2013年)ISOFIX取付の、一体型チャイルドシートの規則

・Phase2:(2017年)非一体型チャイルドシートの規則の追加

・Phase3:(2018年)シートベルト取付の一体型チャイルドシートの規則の追加

 

こう書くと、ちょっと分かりにくいので、分かりやすく書き直しますと、

 

①(2013年):新生児~4歳までのISOFIX取付けのチャイルドシートの基準

②(2017年):3歳半頃(身長100㎝)からのジュニアシートの基準

③(2018年):新生児~4歳までのシートベルト取付けのチャイルドシートの基準

 

と、こうなります。

 

たまに情報サイトによっては「R129はISOFIXでの取付のみ」的に書いていますが、これは、①のISOFIXチャイルドシートの基準だけ決まっていた時に作った少し古い記事だと思います。

 

② の3歳半頃(身長100㎝)からのジュニアシートの基準については、ISOFIXは必須ではありませんし、③については、そもそもISOFIXを使いませんので。

 

ちなみに、シートベルト取付けの③の基準で、従来の安全基準から大きく変わった点があります。それは、

「一つの製品に対し、シートベルトの通し方は一通りだけ」とするところです。

※国連では「ワンベルトルート」「シングル(単一)ベルトルート」などと呼ばれています。

 

例えば、今までの安全基準R44では、後ろ向き時にベルトを通すところは青色、

前向き時にベルトを通すところは赤色と義務付けられていました。

 

製品の使い方によってベルトの通し方を変える事によって、ユーザーのミスユースを誘発する可能性がある事から、一つの製品に対し、シートベルトの通し方は一通りだけとするように決められたはずなんですが。。。。

解釈上の隙間を狙って「ワンベルトルート」から逸脱した製品も安全基準を取得してしまった例もあり、実際に発売されています。

 

安全基準の解釈をめぐって、今までも同様の事がありましたが、そのたびに、安全基準の補足によって、明確化されていっているので、いずれ無くなっていくものと思いますが、解釈の逃げ道が無くなるまでは、「なんでそれが基準取れる?」という謎な製品は出てくると思います。

 

と、少々話がそれてしまいましたが、チャイルドシートの安全基準は

・段階的な改正により、適応範囲を拡大

・解釈による、齟齬が起きないような補足・修正

を行い、安全基準の透明性と安全性を日々高めています。

 

最後に、安全基準の認証マーク(いわゆるEマーク)の見方を載せておきますね。

 

安全基準の認証マーク(いわゆるEマーク)の見方

 

安全なチャイルドシート選びと、安全なチャイルドシートの使い方の何かしらの参考になれば幸いです。